無限ループ

ノートの隅に書く感想

全エンタメ好きに「スーパー歌舞伎Ⅱ 新版 オグリ」を観て欲しい

2019年秋、新橋演舞場に上質なエンタメが降臨したよ!!!


エンタメ好きにおすすめしたすぎて、小学生の方がまともな文章を書くよ、レベルの文章しか書けない私ががんばりました。

歌舞伎は敷居が高い。高尚な趣味だね(笑)。よくわかんないけど、凄い化粧してよぉ~!って顔するやつでしょう。歌舞伎は学生のときに授業で無理矢理連れていかれてトラウマ(私がそうでした)。 歌舞伎を観る人いる?楽しい?
歌舞伎が好きというとそんなことを言われがちです。そう、歌舞伎は日本の伝統芸能なのに浸透していない。
良いですか?歌舞伎はエンターテイメントです。もう一度言います、最高のエンターテイメントです!!!
この記事を読んで、「意外と歌舞伎って楽しそうかも」「これなら観てみたい!」という気持ちになってもらえたら本望です。いますぐオグリのチケットを確保してください。なんならこの記事は読まなくとも良いので、オグリを観てください


※以下、若干のネタバレを含んでおります。ネタバレ絶対NGの方は回避お願いします。



◎そもそも、スーパー歌舞伎とは?

スーパー歌舞伎ではさらに古典歌舞伎の踊りや立ち回り、見得、ケレン(観客を驚かされるような演出)、隈取り、下座音楽といった演出法や演技術を意識的に取り入れる一方、中国の古典や日本の古代神話など、従来の歌舞伎の枠にとらわれない題材を脚本化した。猿之助*1スーパー歌舞伎の特徴のひとつとして「真に現代人の胸に迫る物語性」を挙げ、壮大で骨太な物語が基調となっている。制作に当たっては現代劇や京劇など多ジャンルの出演者やスタッフを取り入れて創作され、煌びやかな衣装と最新の照明や舞台装置、雄大な劇伴音楽などで世界観を作り込む、現代劇と古典歌舞伎の融合的作品群である。

現代語調による台詞回しが多く目立つ一方、そのセリフの合方や間合いには伝統的な歌舞伎の技法が取られている。

wikiより引用)

スーパー歌舞伎は3代目猿之助さんが、スーパー歌舞伎の創造の精神を引き継いで4代目猿之助さんが作り上げている歌舞伎がスーパー歌舞伎Ⅱです。簡単にいえば、台詞は現代語調で超ド派手な演出の歌舞伎です。
世間で話題になったであろうワンピース歌舞伎がスーパー歌舞伎です。ワンピースがおもちゃ箱のようなポップなエンタメなら、オグリは洗練された上質な大人のエンタメです。色でいえばワンピースはビビッドでカラフル。オグリはシックな濃淡色。
ちなみに、同じく歌舞伎で上演されたNARUTOは新作歌舞伎で、スーパー歌舞伎とはちょっと違います。こちらは12月に新橋演舞場で上演されるナウシカと同じ分類ですね。



◎基本公演情報
東京公演:新橋演舞場 10月6日~11月25日
開演時間:昼の部11:00、夜の部16:30*2
上演時間:4時間半(3幕構成で休憩は30分と20分の2回。座席でも飲食可なので、ご飯が食べれます)
その他:主演は交互で首謀者こと猿之助さんと若手随一のイケメンこと中村隼人さんが勤めます。主演でない回は別のお役で出演されるので、どちらの回で観てもお二人を拝めます。チケットは3000円から17500円まで。チケットは公式で購入の他、カンフェティ等で1等席16500円のみお安く買えちゃったりします。
値段に躊躇するかもしれませんが、エンタメ好きなら「ここは好き!!」な演出や台詞が必ずあるので、時代が追い付いたスーパー歌舞伎を信じてください
東京以外では博多座(2月4日~25日)と南座(3月4日~26日)で上演されます。



◎あらすじ
公式サイトに載っているので見てください(いきなり雑)
www.kabuki-bito.jp
これでほぼ9割のストーリーです、まじです。歌舞伎にはあまりネタバレという概念がない(気がする)
小栗判官物語が題材で原作はスーパー歌舞伎 オグリ(の脚本。出版されている)です。
舞台に出てくる地名があると観るときにイメージしやすいかな、と思ってまとめたんですけど移動しすぎですね。
最初は常陸の国(茨城)、相模(神奈川)、上総国(千葉)、美濃(岐阜)、地獄(超近代的)、近江(滋賀)、熊野って感じです。今の場面はどこの地方?が分からなくても話は分かります。豆知識的に知っていると面白いかも。実際に私は全く予習しないタイプなのですが、話にはついていけます大丈夫です。
歌舞伎特有のあれこれは分からなくても気楽に観てください。私は新鮮な気持ちを失ってしまったので、何が歌舞伎特有か思い出せません……誰か教えてください。
3幕構成なので、簡単に各幕を一言で表してみました。
・1幕:序章。物語の導入部分なのでちょっとたるいかも。
・2幕:スーパーエンタメタイム(完全なる主観)一瞬で終わる。と思ったら、時間も一番短い。
・3幕:登場人物が心情を語りまくる時間。テンポと話の進め方が一番歌舞伎っぽい気がするので、眠くなる人は眠くなると思う。



◎おすすめポイント
■脚本
脚本家の横内謙介さんは歌舞伎や舞台はもちろん、ジャニーズ主演の舞台、劇団EXILE、HKT指原座長公演などの舞台も手掛けています。ピューロランドのショーも手掛けています。そう、エンタメ好きと大変相性がよろしいのです。分かりやすい展開、熱い台詞、おちゃらけた場面。友人に誘ってもらい偶然にも横内さん主催劇団(扉座)の公演を観たこともあるのですが、万人受けする脚本を書かれる方です。
ただし、脚本が、というわけではないのですが、歌舞伎のテンポとして。他の舞台より1つの事象に対して5倍くらい時間をかけます(5倍は言い過ぎかも。でも、時間かけますよね?)台詞も多いし、心情をめちゃくちゃ語る*3ので冗長になりがちです。テンポの良いストレートプレイを見慣れている人は特に冗長でたるくなるかも。*4歌舞伎作品は全体的にそんなもんだと思ってください。でも、肝心なところで説明がないので(笑)え、今どんだけ時間軸とんだ!?場所どこ!?となりがち。


■演出・仕掛け
ジャニーズ舞台や髑髏城の七人 上弦の月が好きな人は好き。大道具はシンプルですが、仕掛けは派手です。*5
どうしてそうなったかわかんないけど、ターミネーターみたいな馬が出てくるし、EXILEDA PUMPなダンスも披露されます。とある場面で一緒に踊ってねって言われますが、ジャニーズみたいに高度なことは要求されない*6ので安心してください。
ここからはおたくが好きな要素を箇条書きしていきます。おたくが好きな要素は全て詰め込まれている。
・鏡(この仕掛けを考えた先代は天才。拍手喝采。観ればわかる)
・紙吹雪、ドライアイス、照明効果(この辺りはコンサートの鉄板ですね。コンサートじゃないけど)
・映像、プロジェクションマッピング(歌舞伎でも最近では利用されるように。海老蔵さんも新橋演舞場プロジェクションマッピングを使っていました)
・光る衣装、光るオブジェ、LED(コンサートでは鉄板、光る衣装。コンサートじゃないけどね!(2回目))
・音楽×殺陣、アクロバット、唐突なダンス(じゃにおた集合~!!!イケメンの殺陣、最高に好きでしょ!?!?
・水(正しくは、音楽×殺陣×照明効果×水。好きなものが飽和状態でテンション爆上がり)
宙乗り(ゆったりしたフライング的な。ターミネーターみたいな馬に乗ります)


■役者
主な登場人物のみに絞ります。語彙力が圧倒的に足りないので、魅力が全然伝えられないです。。各役者の贔屓の方々、ご了承ください。

主演の市川猿之助さんと中村隼人さん*7。なんと、同じ役ですが18歳差です。歌舞伎は若手が大役をやることは少ないので、隼人さんは大抜擢です。猿之助さんが「オグリは隼人に合うから一緒にやろう」と言っていたそうな。猿之助さんはスーパー歌舞伎Ⅱの仕掛人でもあり、アイデアの天才。安定とプロの技を堪能でき、無意識な人たらしでみんなの中心にいるんだろうな、というオグリです。私の中でルフィのイメージが強すぎるのかも。オグリではあまり堪能できませんが、踊りに重力がないです。隼人さんは圧倒的イケメン。カリスマ性で中心にいるんだろうな、というオグリ。餓鬼病になった姿さえ美しいとはどういうことかね??絶望感と憂いがプラスされていて、むしろ美しさが増している。ちょっと前まで隼人さんは何を演じでも隼人さんだなあという印象だったのですが、ここ1,2年でめちゃくちゃ成長していまして。オグリもオグリで感動でした。これだから若手の成長は良いよね……。*8
二人とも主演のオグリでないときは遊行上人役で出演しています。役柄的にも年齢的にも、エンタメ好きに刺さるのは隼人さんオグリ/猿之助さん遊行上人じゃないかな、と。まぁ私が隼人さん好きなだけなんですけど。

オグリを慕っている小栗党6人も本当にそれぞれ大好きなんですけど、六郎(玉太郎くん)に刺さる人が多い、絶対に。無口な儚い美人系イケメン(笛と剣が得意)がみんなの末の弟分で、その人生は生まれた時から暗く重い枷を背負っており、その人生に葛藤するのです。好きな人、絶対にいますよね??次点は四郎(福之助くん)。人情に厚くちょっとヤンキーチックな感じ。個人的に若手MVPはこの二人です。私は三郎(笑也さん)が凛とした姉御でめちゃくちゃ好きです!!別作品だけど、NARUTO綱手様がベストオブ笑也さんです。画像検索して欲しい、60歳と思えない美貌に惚れるから。五郎(猿弥さん)の笑わせてくる子芝居も好きだし、次郎(男寅さん)の可愛くて空気がほんわかしちゃうところも好きで、一郎(竹松さん)のちょっと癖のありそうな役も印象に残るので好きです。

ヒロイン役、照手姫を演じる新悟さん!美人で可愛くて器量よしで私が嫁に欲しい。ちなみに、年齢は隼人さんより上です。私の中のベストオブ新悟さんはワンピースのサディちゃんなのですが、照手姫も本当に素敵。途中で、本当に男性?という気分になります。可愛いんだけど真っ直ぐに芯が通っていて、親切心や気遣いも裏表がなく、本当に強い女性だな、と感じる照手姫を演じます。所作が本当に綺麗だから観て。

歌舞伎役者は年齢幅も広く、オグリも下は金坊で交互出演している右近くん*9の9歳、上はカメ婆を演じる寿猿さん89歳!!凄くないですか!?89歳ですよ!?出番は僅かですが、新橋演舞場に毎日通いカツラをつけてお化粧をして衣装を着て昼夜公演を勤める体力に天晴れ。

スーパー歌舞伎Ⅱは歌舞伎役者以外の役者さんも出演されています。浅野和之さん、嘉島典俊さん、石黒英雄くん、下村青さんなど。浅野さんの閻魔大王は笑いのスパイスになっていて、本当にくすっとしてしまう笑いをがんがん放り込んできます。*10 嘉島さんは役の演じ分けがあっぱれ!高倉様と黒姫が同一人物だとは思えないので、この二役は嘉島さん、と覚えて欲しい。

他にも一人二役、三役を演じている役者さんも多いです。初見だと役の名前が覚えられないと思うので(私だけかな?)パンフやチラシで後からでもチェックしてみてください。驚愕できます!



◎その他(グッズと食事)
■グッズ紹介
・パンフ 1500円
オフショット的な感じで、役の写真は載っていません。舞台写真が載る版は今後出る、きっと。キャストコメントはなく、縁の人からのコメントが載っています。斬新かよ。と思っていたら、髑髏城の七人 極と同じパンフ構成らしいです。勉強になった。
・光るリストバンドは歓喜の価格、税込1000円
スタッフさんも携えている歓喜の光。歓喜の価格の謎は劇場で解けます。3幕で使うので買うと楽しいです。まぁ、正直、無くても良い。が、売上げが芳しくないようので(笑)お金に余裕のある方はぜひ。

歌舞伎には作品の豆知識や舞台に出てきた役者を教えてくれるイヤホンガイドなるアイテムがありますが、スタッフさんに確認したところオグリにはありません。気になった役者がその場で分かるから便利なのに残念……。


■ご飯紹介
新橋演舞場の1階ロビーがめちゃくちゃ狭くお弁当を購入するにも混雑するのが私は苦手なので、事前に買っていく派です。食事処も休憩30分だとばたばたしてしまいそうで利用したことがありません。なので、劇場グルメは全く分からず申し訳ありません……アイス最中はおいしいよ……。ちなみに。お弁当は公演に合わせた仕様のお弁当が売っています。劇場外の売り場で完売していても、中で売っている可能性あり。一部の食事処はネット予約可です。
個人的には銀座のデパ地下で美味しそうなご飯を購入するのが好きです!テンション上がる!でも昼公演だとデパ地下オープンが10:30で開演11:00なのでかなり焦ります。結果、コンビニになりがち。
歌舞伎座の横にある喫茶youのオムライスがとろとろでめちゃくちゃ好きです。でもいつも混んでいて私はかなしい。歌舞伎座と大きい道路を挟んで向かいにあるカレー屋さんナイルは歌舞伎役者の御用達です。若手のSNSをみているとナイルに行ったら◯◯に会いました!報告が定期的にあがる。若手ナイルに通いすぎ問題。*11


歌舞伎に初めて足を踏み入れるのはちょっと躊躇うかもしれませんが、一般的な観劇と一緒です。なにより、エンタメを浴びたい方!歌舞伎の世界へぜひ!!一緒に沼落ちしましょう。



誤字脱字を含む指摘、追加情報、質問等々、マシュマロにどうぞ。もしオグリ沼、歌舞伎沼にはまったら一報ください。泣いて喜びます。
marshmallow-qa.com


オグリを観て歌舞伎沼が気になった方はこちらの記事をどうぞ。
for-kirakira.hateblo.jp

*1:ここの猿之助さんは3代目です

*2:歌舞伎は社会人に優しくないですね、聞いてますか松竹さん

*3:己の人生を出生時から語りがちなのは歌舞伎あるある

*4:私は歌舞伎観劇が続いた後にストレートを観るとこれはマシンガンか??となります

*5:場面が次々変わるので、装置は飾らず近代能楽堂にしたらしい。パンフより

*6:某TravisJapanは一緒に踊ってね!からの踊りがタップダンスで笑うしかない

*7:豆知識。隼人さんは堀越出身でHey!Say!JUMPのトリオや神木隆之介くんと同級生です。神木くんとは親友です。

*8:おたくが若手組に沼落ちしやすい原因

*9:日曜劇場ドラマ、ノーサイドゲームに出ていました

*10:ワンピースにも出演されていたのですが、隼人さんが素で笑ってしまっていて可愛かったです

*11:隼人さんはまじでナイルによくいる